国土交通省プロジェクトPLATEAU(プラトー)が、全国56都市の3D都市モデル化を完了して、Googleマップライクなビューアーと共にリリースしました。また、先行して東京23区の3D都市モデルのオープンデータを公開しています。
PLATEAUとは
プロジェクトPLATEAUは、国土交通省が管轄する、現実都市をサイバー空間に再現する3D都市モデルの整備・活用を目的としたプロジェクトです。単なるモデルデータにとどまらず、水位や人口の流れといったメタデータを加えることで、都市計画のシミュレーション・分析に役立てることを目指しています。
今回は2020年度の実績として、56都市の3D都市モデル化と東京23区のオープンデータ化をv1.0としてリリースしました。
今後計画が進めば、全国に同アプローチを展開し、スマートシティの基盤として都市開発や自動運転、ドローンのロボット運送等のユースケース開発およびデータ整備手法の整備に寄与していくとのことです。
3D都市モデルのフォーマットとしては、地理空間情報分野の国際標準化団体OGCが策定したCityGML2.0が採用されています。
なお、3D都市モデルの構築対象都市は、一覧の通りです。
PLATEAU Viewを使ってみる
PLATEAU Viewは、最先端の3D都市モデルをWebブラウザで体験させてくれるサービスです。
サービスを起動する
ここをクリックすることで、PLATEAU Viewが起動します。PC上のChrome・Safari・Edgeがサポート対象です。
モデルデータの表示
左上の[Add Data] > [見たいエリア・モデル種を選択] > [⊕]ボタンをクリックすると、左のプレーンにモデルデータが追加されてビューに映像が現れます。左プレーン内の[データ視点移動]をクリックすると、そのエリアにビューが移動します。
選択項目により、ビュー内のモデルが色分けされて、エリアがどのような状態にあるかを表示してくれます。これは、モデルデータ内のメタデータが活用されている事例です。
Pedestrian Modeの表示
ビューの右上にある人型のアイコン(Pedestrian Mode)を選択すると、まるで都市に降り立ったかの様な視点に切り替わります。Googleマップのストリートビュー以上なのは、PC版マインクラフトの操作で前後左右移動し、かつクリエイティブモードみたいに上昇・下降することが可能で、街を散策することができます。
その他
都市データによっては、人の移動の流れをタイムラインで見せてくれたり、地価のバリューマップを表示する、といった機能があります。東京のみならず、全国56都市分のモデルデータが掲載されているので、色々な地方を見て回るのも面白いと思います。
各種データ類の入手先
モデルデータ
モデルデータは、PLATEAUと技術協力を結ぶ、一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会が運営するサイト「G空間情報センター」からダウンロードできるようになっています。
資料
2020年度PLATEAUで得られた3D都市モデルを導入するための知見は、成果物としてサイトにPDFでまとめられています。2021/3月時点の掲載資料は下記です。
- 3D都市モデルの導入ガイダンス
- 3D都市モデル標準製品仕様書
- 3D都市モデル標準作業手順書
- 3D都市モデル整備のためのBIM活用マニュアル
- 3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(公共活用編)
- 3D都市モデルを活用した災害リスク情報の可視化マニュアル
- 3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(民間活用編)
- 3D都市モデルのデータ変換マニュアル
- ビジュアルアイデンティティ(VI)マニュアル
- 実証環境構築マニュアル
ソースコード
プロジェクトPLATEAUで利用された、PLATEAU Viewや3D都市モデル整備支援システムのソースコードは、GitHubにアップされています。2021/3月時点のリポジトリは下記です。
- PLATEAU-VIEW
- Data-Conversion-Manual-for-3D-City-Model
- IFCtoCityGML
- CityGML-evaluation-system
- CityGML-production-system
- CityGML-geometry-validator
まとめ
日本でも本腰を入れた都市モデルデータ化の活用が始まりました。先を行く諸外国に負けない様な精度と画期的な活用方法が生まれるとよいですね。もちろん、民間の協力も欠かせないので、このプロジェクトの認知度が広まることが先決です。
これだけのデータを無料開放されると、地図周辺の事業屋さんはどうなっていくのでしょうか。
以上、プロジェクトPLATEAUの紹介でした。
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